中世・アジア・中東・アフリカ
千夜一夜物語
- 作者
- 作者不明
- 国・地域
- イラク等
- 言語
- アラビア語
- 成立
- 700–1500年
あらすじ
アラビア語で編まれた物語群であり、ペルシアやインド、シリア、エジプトなど多様な地域の説話が織り交ぜられている。王妃の不貞に怒ったシャフリヤール王が毎夜新たな女性を迎えては翌朝に処刑するという残酷な掟を敷くが、機転に富むシェヘラザードが自ら進んで王に嫁ぎ、千一夜にわたり物語を語り続ける。語りが途切れると彼女の命は失われるため、毎夜物語を途中で区切り、王の好奇心を巧みに操ったのである。この枠物語の中に、アラジンの魔法のランプ、アリババと四十人の盗賊、船乗りシンドバッドの冒険など、多彩な物語が挿入される。物語は東方の幻想と現実の欲望を融合させ、時にユーモラスで時に残酷である。異文化の交流と口承文芸の力を示す作品群であり、単なる娯楽ではなく人間の知恵と生存への執念を象徴する文学である。
豆知識
- 「アラジン」と「アリババ」はアラビア語の古い写本に見つかっておらず、18世紀初めにフランス語訳者ガランが、シリア出身の語り手ハンナ・ディヤーブから聞き取って加えた話とされる。
- ガランが翻訳に使った現存最古級の写本(14世紀ごろ)は、282夜目の途中で終わっている。1001夜分をそろえたのは後世の編者たちだった。
- 日本では1875年に永峰秀樹が英語版から『開巻驚奇 暴夜物語』として翻訳したのが最初とされる。
日本語で読むなら
- 『完訳 千一夜物語』豊島与志雄ほか訳岩波文庫・全13冊
- 『バートン版 千夜一夜物語』大場正史訳ちくま文庫・全11冊
- 『アラビアン・ナイト』前嶋信次・池田修訳平凡社東洋文庫