古代・ヨーロッパ
アエネーイス
- 作者
- ウェルギリウス
- 国・地域
- ローマ帝国
- 言語
- 古典ラテン語
- 成立
- 前29–前19年
あらすじ
ウェルギリウスがローマ帝国の理念を詩のかたちに結晶させた叙事詩である。トロイア滅亡を生き延びた英雄アエネアスは、神託に導かれて地中海を漂流し、宿命の地イタリアを目指す。彼はカルタゴの女王ディードーとの恋と別れを経験し、冥府で祖霊と邂逅してローマの未来図を示される。戦いの場面では個の勇を讃えつつ、個人の感情よりも共同体の使命が優先される秩序が強調される。詩はホメロスの様式を継承しながらも、ローマ的徳(ピエタス)を核に、敗者の記憶と建国の暴力を併せ持つ国家の正当化を描く。ゆえに作品は勝者の栄光の賛歌であると同時に、犠牲のうえに築かれる歴史の陰影を刻み込む二重のテクストである。
豆知識
- ウェルギリウスは死の床で未完の原稿を焼くよう遺言したが、皇帝アウグストゥスがそれを退けて世に出させた。
- 未完成のまま残された半端な行が、作中に50以上ある。
- カルタゴの女王ディドとアエネアスの悲恋は、パーセルのオペラ『ディドとエネアス』など多くの作品の題材になった。
日本語で読むなら
- 『アエネーイス』泉井久之助訳岩波文庫・全2冊