20世紀・アジア・中東・アフリカ
狂人日記 他短編
- 作者
- 魯迅
- 国・地域
- 中国
- 言語
- 中国語
- 成立
- 1918年
あらすじ
魯迅の『狂人日記』は、中国近代文学の出発点とされる短編小説である。物語は「狂人」の視点から日記形式で語られ、周囲の人々が実は人肉を食べているのではないかという妄想に囚われる。これは封建制度や儒教道徳を「人食い」に喩えた痛烈な社会批判である。狂気の語りは社会の抑圧構造を暴き出し、同時に個人の孤立と不安を象徴する。魯迅は鋭い言語で伝統を告発し、新しい主体の誕生を予告した。『狂人日記』は短編ながら、中国文学と思想に決定的転換をもたらした革新的作品である。他の短編とともに、人間存在の苦悩と抵抗を鋭く描き出し、今日まで強い影響を与え続けている。
豆知識
- 1918年、雑誌『新青年』に発表された。「魯迅」という筆名が初めて使われた作品である。
- 結びの一句「子どもを救え……」は、中国近代文学を象徴する言葉として知られる。
- 魯迅は仙台医学専門学校で医学を学んだが、授業で見た幻灯の映像をきっかけに、医学から文学へ転じた。
日本語で読むなら
- 『阿Q正伝・狂人日記 他十二篇』竹内好訳岩波文庫
- 『故郷/阿Q正伝』藤井省三訳光文社古典新訳文庫