世界傑作文学100選

20世紀・南北アメリカ

ロリータ

作者
ウラジーミル・ナボコフ
国・地域
ロシア/アメリカ合衆国
言語
英語
成立
1955年

あらすじ

ナボコフが英語で記した挑発的な小説である。語り手ハンバートは、12歳の少女ドロレス・ヘイズ――彼にとっての“ロリータ”――への耽溺を、流麗な文体と皮肉で飾り立てる。彼は自己正当化に満ちた回想を綴るが、その隙間から支配と搾取の現実が滲み出る。アメリカのハイウェイ、モーテル、遊園地といった風景は、無垢の消費と欲望の移動性を象徴し、罪悪は風景の明るさに反照されてさらに暗い。小説は倫理の境界を試しつつ、言葉がいかに現実を誘惑し、隠蔽しうるかを実験するメタフィクションである。読者は語りの魅惑に引き込まれつつも、最後に残るのは言葉の美と取り返しのつかない傷である。

豆知識

  • アメリカの出版社に断られ続け、1955年にパリのオリンピア・プレスから出版された。同社は官能小説も扱う出版社だった。
  • グレアム・グリーンが英国の新聞で「その年のベスト3」の一冊に挙げたことから、広く注目されるようになった。
  • ナボコフは蝶の研究者でもあり、ハーバード大学の比較動物学博物館で鱗翅類の研究に携わっていた。

日本語で読むなら

  • 『ロリータ』若島正訳新潮文庫

この作品が好きなら

  • ボヴァリー夫人(ギュスターヴ・フローベール)

    ナボコフは大学の文学講義でボヴァリー夫人を詳しく取り上げている

  • ゼーノの意識(イタロ・ズヴェーヴォ)

    語り手の自己正当化を疑いながら読む、一人称の小説

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