世界傑作文学100選

20世紀・ヨーロッパ

イーダの長い夜

作者
エルサ・モランテ
国・地域
イタリア
言語
イタリア語
成立
1974年

あらすじ

イタリアの作家エルサ・モランテが第二次世界大戦下のローマを舞台に描いた長編である。未亡人イーダは息子を育てながら、戦火と空襲の恐怖に翻弄される。彼女は軍人との短い関係からもう一人の息子ウーゼペを授かるが、彼の存在はイーダの人生に苦難と同時に希望をもたらす。物語は市井の庶民の視点から戦争の暴力と飢餓を描き、国家やイデオロギーの大義とは無縁の「生き延びること」の切実さを浮かび上がらせる。母と子の絆は過酷な状況下で試され、喪失と犠牲を経て人間の尊厳を守ろうとする姿が胸を打つ。モランテは叙情的な筆致と冷徹な観察を交え、戦争文学を超えた普遍的な人間ドラマを創出した。

豆知識

  • 原題は『ラ・ストーリア(歴史)』。モランテは多くの人に読まれるよう、最初から安価なペーパーバックで出版することを求めた。
  • 1986年にルイジ・コメンチーニ監督でテレビドラマ化され、クラウディア・カルディナーレが主人公イーダを演じた。
  • 作者モランテは、作家アルベルト・モラヴィアの妻だった。

この作品が好きなら

  • ブリキの太鼓(ギュンター・グラス)

    第二次世界大戦下の社会を、弱い立場の人間の視点から描く

  • ビラヴド(トニ・モリスン)

    過酷な時代の中で子を守ろうとする母の物語