古代・ヨーロッパ
変身物語
- 作者
- オウィディウス
- 国・地域
- ローマ帝国
- 言語
- 古典ラテン語
- 成立
- 8年
あらすじ
古代ローマの詩人オウィディウスによる『変身物語』は、天地創造からカエサル神格化までを網羅する壮大な物語詩である。神々と人間の物語は変身というモチーフで結ばれ、ダフネが月桂樹に、ナルキッソスが水仙に変わるなど、欲望と悲哀の果てに形態を変じて存続する。オウィディウスは叙事詩の重厚さよりも機知と流麗な語りを重んじ、多様な逸話を連鎖させた。変身は救済であると同時に罰でもあり、人間存在の不安定さを寓話的に表す。作品は中世からルネサンスに至る芸術の源泉となり、神話の宝庫として後世に読み継がれた。叙事と抒情を融合させた詩の力は、時代を超えて人間の想像力を刺激し続けている。
豆知識
- 完成とほぼ同時の紀元8年、オウィディウスは皇帝アウグストゥスの命令で黒海沿岸のトミス(現在のルーマニアのコンスタンツァ)に追放され、そこで生涯を終えた。
- 追放の理由を本人は「一篇の詩と一つの過ち」とだけ書いており、詳しいことは今もわかっていない。
- ナルキッソスとエコー、ピュグマリオン、そして『ロミオとジュリエット』の原型とされるピュラモスとティスベなど、多くの神話がこの作品を通じて後世に伝わった。
日本語で読むなら
- 『変身物語』中村善也訳岩波文庫・全2冊