世界傑作文学100選

古代・アジア・中東・アフリカ

ヨブ記

作者
作者不明
国・地域
アケメネス朝ペルシア
言語
聖書ヘブライ語
成立
前700–前301年

あらすじ

旧約聖書に収められた叙事詩的物語である。舞台はアケメネス朝ペルシアの影響を受けた時代とされ、主人公ヨブは敬虔で正しい人物として描かれる。彼は莫大な財産と大家族に恵まれていたが、神とサタンとの試みにより、一瞬にして家族を失い、財産を奪われ、全身に病を負わされる。友人たちは彼を慰めるどころか、罪のゆえに罰を受けたのだと非難する。ヨブは苦悩と反発の言葉を口にするが、最後には神の圧倒的な存在と創造の偉大さの前に沈黙し、信仰を回復する。結末では彼は再び祝福を受け、豊かな家族と財を取り戻す。人間の苦難と無垢の意味、神の正義と沈黙の問題を問うこの書は、単なる宗教書にとどまらず、存在そのものをめぐる哲学的対話として読み継がれてきた。

豆知識

  • ヨブを試す許可を神に求める「サタン」は、ここでは悪魔ではなく、神の宮廷で人間を告発する役目の天使として描かれている。
  • 本文の大部分は詩で書かれ、冒頭と結末だけが散文の枠物語になっている。
  • 「ヨブの忍耐」という言い回しがあるが、詩の部分のヨブは神に激しく抗議し続けている。忍耐強いのは散文部分のヨブである。

日本語で読むなら

  • 『ヨブ記』関根正雄訳岩波文庫

この作品が好きなら

  • カラマーゾフの兄弟(フョードル・ドストエフスキー)

    イワンの「なぜ罪のない子どもが苦しむのか」という問いはヨブの問いと重なる

  • イワン・イリイチの死(レフ・トルストイ)

    理由のわからない病と死に向き合う男の物語

  • 審判(フランツ・カフカ)

    理由を告げられないまま裁かれ続ける男。不条理の構図が似ている

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