城
カフカ
チェコスロバキア · ドイツ語
1926
あらすじ
カフカの未完の長編であり、『審判』と並ぶ代表作である。測量士Kは城に雇われたと信じて村を訪れるが、彼の存在は曖昧にされ続ける。城は近くに見えながらも到達不能であり、村人たちは城の権威に従属し、Kの立場は常に不安定である。彼は役人や宿屋の人々と交わるが、どの関係も確固たるものにならず、目的に辿り着くこともない。物語は結末に至らぬまま途絶えるが、その未完性こそが現代の孤立と権力の不可解さを象徴している。カフカは日常的風景に不安を滲ませ、理不尽な構造の中で生きる人間の姿を描いた。『城』は読者を不条理の迷路に閉じ込める文学的体験であり、今なお多義的な解釈を誘う。
豆知識
1.
カフカの未完長編で、没後に友人マックス・ブロートが編集・刊行した。
2.
主人公Kが村の官僚機構に接近できない構図は、近代官僚制の不条理を象徴する。
3.
草稿には章順の異同があり、決定版といえる構成は存在しない。