20世紀・アジア・中東・アフリカ
異邦人
- 作者
- アルベール・カミュ
- 国・地域
- アルジェリア(フランス領時代)
- 言語
- フランス語
- 成立
- 1942年
あらすじ
アルベール・カミュの代表作であり、実存主義的問題を鋭く提示する小説である。主人公ムルソーは母の死に涙を流さず、やがて偶発的にアラブ人を殺害する。裁判では彼の行為よりも無表情な態度や価値観の欠如が断罪され、彼は死刑を宣告される。物語は人生の不条理を直視し、世界の無意味さと人間の自由を対置する。ムルソーは最終的に死を受け入れ、宇宙の冷たさの中で自己の存在を肯定する境地に至る。小説はカミュの思想的基盤である「不条理哲学」を体現し、近代人の孤独と自由を問い続ける。『異邦人』は虚無と肯定の両義性を孕み、文学史における決定的な転換点となった作品である。
豆知識
- 書き出しは「きょう、ママンが死んだ。もしかすると、昨日かもしれない」。フランス文学で最も有名な冒頭の一つである。
- カミュは1957年、44歳でノーベル文学賞を受賞した。受賞者の中でも特に若い一人だった。
- 2013年、アルジェリアの作家カメル・ダーウドが、作中で殺されるアラブ人の弟の視点から物語を語り直した小説(原題 Meursault, contre-enquête)を発表した。
日本語で読むなら
- 『異邦人』窪田啓作訳新潮文庫