20世紀・南北アメリカ
荒野の悪魔
- 作者
- ジョアン・ギマランイス・ローザ
- 国・地域
- ブラジル
- 言語
- ポルトガル語
- 成立
- 1956年
あらすじ
ブラジル文学を代表するギマランエス・ローザの長編であり、荒野と人間の魂をめぐる寓話的物語である。語り手リオバルドは、無法地帯セルタォンで生きる群像を描きながら、自らが悪魔と契約を交わしたのではないかという不安を語る。物語は民間伝承、宗教的象徴、哲学的思索が入り混じり、善と悪、自由と宿命の境界を揺さぶる。登場人物たちは暴力と愛欲に翻弄されつつも、自然と共同体の中で生き抜く。言語は実験的かつ詩的であり、口承と文学の融合を試みた。ローザはブラジルの風土を宇宙的規模にまで拡張し、人間存在の根源を問いかける。『荒野の悪魔』はラテンアメリカ文学の革新を象徴する作品である。
豆知識
- 章分けも段落の区切りもほとんどなく、語り手リオバルドの独白が600ページ近く一気に続く。
- 作者ギマランイス・ローザは医師で外交官でもあり、第二次世界大戦中はハンブルクの領事館で、ユダヤ人のビザ取得を助けた。
- 本の最後には、文章ではなく「∞(無限大)」の記号が置かれている。
日本語で読むなら
- 『大いなる奥地』中川敏訳新潮社