死せる魂
ゴーゴリ
ロシア · ロシア語
1842
あらすじ
ロシア作家ゴーゴリによる風刺的長編であり、帝政ロシア社会の矛盾を鋭く描く。主人公チチコフは、死んだ農奴を帳簿上で買い集め、財産として担保にして出世を企む。この奇妙な商法は社会の制度的欠陥を突くものであり、地主たちの強欲や愚昧さを炙り出す。物語は滑稽な挿話と奇矯な人物描写で彩られ、笑いの裏に社会の腐敗と停滞を映す。未完に終わったが、その未完成性自体がロシア文学の開かれた問いを象徴する。ゴーゴリは人物の滑稽さの中に人間存在の不安を織り込み、風刺と幻想を融合させた。『死せる魂』は単なる喜劇を超え、近代国家の病理を照射する大いなる文学実験である。
豆知識
1.
1842年に第一部が刊行されたが、第二部は未完。著者は死の直前に原稿の一部を焼却した。
2.
農奴制下の農民台帳を売買する設定で、帝政ロシアの腐敗を風刺する。
3.
散文でありながら作者自身は「詩」と称し、ジャンル越境的性格を持つ。