中世・アジア・中東・アフリカ
果樹園
- 作者
- サアディー
- 国・地域
- イラン
- 言語
- ペルシア語
- 成立
- 1257年
あらすじ
ペルシア詩人サアディーによる『果樹園』は、詩と散文を交えた教訓文学である。物語や寓話を通じて人間の徳や道徳、社会的規範が説かれるが、説教臭さに終わらず、機知とユーモアに満ちている。王と庶民、師と弟子の逸話が並置され、人間の愚かさや知恵が対照的に示される。サアディーは人間の弱さを見つめつつ、慈愛と寛容を根底に据えた倫理観を提示する。その語り口は優雅でありながら鋭く、日常の一場面から普遍的真理を導き出す。『果樹園』は東洋の知恵の書として広く読まれ、異文化の橋渡しとして世界文学史においても重要な位置を占める。
豆知識
- 「ブースターン」はペルシア語で「香りの庭」の意味。全10章で、正義・愛・謙虚さなどの教えを逸話を通して説く。
- サアディーは長年にわたってイラクやシリア、アラビア半島を旅し、その見聞を作品に生かした。
- 翌年の『薔薇園(ゴレスターン)』にある「人はみな一つの体の手足」という詩句は、国連本部に贈られた絨毯に織り込まれているとされる。
日本語で読むなら
- 『果樹園(ブースターン)』黒柳恒男訳平凡社東洋文庫