20世紀・ヨーロッパ
モロイ/マロウンは死ぬ/名付けえぬもの
- 作者
- サミュエル・ベケット
- 国・地域
- アイルランド共和国
- 言語
- フランス語・英語
- 成立
- 1951–1953年
あらすじ
サミュエル・ベケットの三部作『モロイ』『マロウンは死ぬ』『名付けえぬもの』は、存在の意味を徹底的に問い直す実験的文学である。老境にあるモロイやマロウンらは曖昧な語りの中で自己を語り続けるが、物語は結末や秩序を欠き、むしろ言語そのものの崩壊を示す。登場人物は行為よりも思索に沈み、語りは断片的で循環的に展開する。ベケットは近代小説の形式を解体し、沈黙と空白をもって人間存在の不確かさを示す。作品は不条理演劇と同様に、意味の不在と持続する語りの緊張を描き出し、読者を虚無の深淵へ誘う。『三部作』は20世紀文学の極北であり、文学とは何かを問い直す象徴的試みである。
豆知識
- 3作はフランス語で書かれ、ベケットが自分で英語に訳した。母語でないフランス語を選んだ理由を「文体なしで書けるから」と語っている。
- 同じ時期に書かれた戯曲『ゴドーを待ちながら』(1953年初演)で、一躍有名になった。
- ベケットは1969年にノーベル文学賞を受賞したが、授賞式には出席しなかった。
日本語で読むなら
- 『モロイ/マロウンは死ぬ/名付けえぬもの』宇野邦一訳河出書房新社・全3冊