世界傑作文学100選

20世紀・ヨーロッパ

ゼーノの意識

作者
イタロ・ズヴェーヴォ
国・地域
イタリア
言語
イタリア語
成立
1923年

あらすじ

イタリア作家イタロ・ズヴェーヴォの『ゼーノの意識』は、近代小説の新境地を開いた心理小説である。主人公ゼーノは自らの精神分析の記録として回想を語り、禁煙の失敗、父との葛藤、結婚や不倫、事業の挫折を綴る。語りは自己弁護と自己欺瞞に満ち、真実は揺らぎ続ける。ズヴェーヴォはフロイト的精神分析の影響を受け、近代人の不安と矛盾を滑稽にも深刻に描いた。ゼーノは弱さとずるさを兼ね備えた人物であり、読者は彼の内面の迷路に引き込まれる。小説は個人の病理と社会の病理を重ね合わせ、近代文明の病を風刺する。『ゼーノの意識』は20世紀文学の先駆的作品であり、アイロニーに満ちた人間喜劇である。

豆知識

  • 精神分析医に勧められて書いた手記という形をとる。序文では医師が、患者が治療をやめた腹いせにこの手記を出版すると述べている。
  • 主人公ゼーノは「これが最後の一本」と何度も決心しては、禁煙に失敗し続ける。
  • 作者ズヴェーヴォ(本名エットレ・シュミッツ)は実業家で、ジョイスに英語を習っていた縁から、ジョイスがこの作品をフランスで紹介した。

日本語で読むなら

  • 『ゼーノの意識』堤康徳訳岩波文庫・全2冊

この作品が好きなら

  • ユリシーズ(ジェイムズ・ジョイス)

    ズヴェーヴォはトリエステでジョイスに英語を習い、ジョイスは彼の作品を世に広めた

  • 失われた時を求めて(マルセル・プルースト)

    記憶を掘り起こしながら自分の人生を語り直す

  • ロリータ(ウラジーミル・ナボコフ)

    語り手の言うことを疑いながら読む一人称の小説

販売ページを見る