20世紀・アジア・中東・アフリカ
北への移住の季節
- 作者
- タイーブ・サーレフ
- 国・地域
- スーダン
- 言語
- アラビア語
- 成立
- 1966年
あらすじ
スーダンの作家タイーブ・サーレフによる『北への移住の季節』は、植民地主義とアイデンティティの問題を鋭く描いた小説である。主人公はイギリス留学から帰国した若者で、村で謎めいたムスタファ・サイードと出会う。彼はかつてロンドンで女性たちを魅了しつつ破滅させた過去を持ち、異文化間の暴力的衝突を体現する存在であった。物語はアラブ世界と西洋の関係、伝統と近代の葛藤を重層的に描く。サーレフは詩的で象徴的な文体を用い、個人史と植民地主義史を重ね合わせることで、読者に普遍的な問いを投げかける。『北への移住の季節』はアラブ文学を世界に知らしめた重要な作品である。
豆知識
- 2001年、ダマスカスのアラブ文学アカデミーにより「20世紀で最も重要なアラビア語小説」に選ばれた。
- 性的な描写を理由に、本国スーダンでは長く発禁扱いになっていた。
- ロンドンで暮らしたスーダン人ムスタファ・サイードは、『オセロー』を反転させた人物として読まれることが多い。