世界傑作文学100選

20世紀・アジア・中東・アフリカ

崩れゆく絆

作者
チヌア・アチェベ
国・地域
ナイジェリア
言語
英語
成立
1958年

あらすじ

ナイジェリアの作家アチェベによる代表作であり、植民地支配に直面するイボ社会の崩壊を描く。主人公オコンコウは力強く戦士として名声を得た男であり、伝統的価値観に固執して生きる。しかし白人宣教師と植民地行政が村に進出すると、古来の信仰や共同体の規範が揺らぎ始める。息子はキリスト教に改宗し、仲間は植民地体制に順応していく中、オコンコウは孤立を深める。彼の頑なな態度は次第に悲劇を招き、最後には自死という形で人生を閉じる。小説は西洋文明とアフリカ土着文化の衝突を鋭く描き、ただ一人の英雄の転落劇にとどまらず、共同体全体の運命を象徴する。言葉の力と伝承の響きが重層的に織り込まれた、近代アフリカ文学の出発点とされる作品である。

豆知識

  • 題名はイェイツの詩「再臨」の一節 “Things fall apart; the centre cannot hold” から取られている。
  • 世界で2000万部以上売れ、50以上の言語に翻訳されたとされる。
  • アチェベは1975年の講演で、コンラッドの『闇の奥』がアフリカ人を人間として描いていないと批判し、大きな論争を呼んだ。

日本語で読むなら

  • 『崩れゆく絆』粟飯原文子訳光文社古典新訳文庫

この作品が好きなら

  • 北への移住の季節(タイーブ・サーレフ)

    植民地支配を受けたアフリカの側から、西洋との出会いを描く

  • 真夜中の子どもたち(サルマン・ラシュディ)

    独立と植民地の記憶を、旧植民地の作家が語る

  • ビラヴド(トニ・モリスン)

    奪われた共同体と個人の尊厳をめぐる物語

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