19世紀・北欧・ロシア
白痴
- 作者
- フョードル・ドストエフスキー
- 国・地域
- ロシア
- 言語
- ロシア語
- 成立
- 1869年
あらすじ
ドストエフスキーの『白痴』は、純粋さゆえに悲劇を招く人間像を描いた長編である。癲癇を患いながらも無垢な心を持つムイシュキン公爵は、社交界に登場し、人々に善意と誠実さを示す。だが彼の無垢さは周囲の欲望や策謀と調和せず、やがて悲劇を引き寄せる。彼は美貌のナスターシャと純真なアグラーヤの間で揺れ動き、愛と善意を貫こうとするが、最後には破局を迎える。作品は「絶対的に善なる人間」を近代社会に置いたときに生じる矛盾を描き、善と悪、理想と現実の衝突を浮かび上がらせる。『白痴』は倫理的実験小説として、ドストエフスキーの思想的核心を体現する作品である。
豆知識
- ドストエフスキーは銃殺刑の直前に恩赦を受けた経験を持つ。ムイシュキン公爵が死刑囚の最後の数分間を語る場面は、その体験を映している。
- 作者と同じく、ムイシュキンもてんかんの持病を抱えている。
- 黒澤明は舞台を冬の札幌に移して映画化した(1951年)。
日本語で読むなら
- 『白痴』木村浩訳新潮文庫・全2冊
- 『白痴』望月哲男訳河出文庫・全3冊