近世・ヨーロッパ
運命論者ジャックとその主人
- 作者
- ドニ・ディドロ
- 国・地域
- フランス
- 言語
- フランス語
- 成立
- 1796年
あらすじ
ディドロの『運命論者ジャックとその主人』は、啓蒙時代の自由な精神を体現する風刺的対話小説である。旅の途上にある主人と従者ジャックは、偶然と必然をめぐる哲学的議論を交わしつつ、数々の逸話や挿話に遭遇する。ジャックは「すべては運命に書かれている」と主張するが、その語りは軽妙でユーモラスに展開される。物語はしばしば中断され、別の逸話に飛び、読者は予測不能な展開に翻弄される。ディドロは小説形式そのものを遊戯的に解体し、自由な思考を表現した。作品は理性と懐疑の精神を融合させ、啓蒙の文学に新たな地平を開いた。『運命論者ジャックとその主人』は、近代小説の実験性を先駆的に示した作品である。
豆知識
- ディドロの生前には出版されなかった。最初に世に出たのは、1785年にシラーが一部の挿話をドイツ語に訳したものだった。
- ジャックは膝に銃弾を受けたことから始まった恋の話をしようとするが、そのたびに邪魔が入って話が脱線し続ける。
- ディドロは、当時最大の出版事業だった『百科全書』の編集責任者として知られる。
日本語で読むなら
- 『運命論者ジャックとその主人』王寺賢太・田口卓臣訳白水社