19世紀・北欧・ロシア
飢え
- 作者
- クヌート・ハムスン
- 国・地域
- ノルウェー
- 言語
- ノルウェー語
- 成立
- 1890年
あらすじ
クヌート・ハムスンの『飢え』は、近代文学における内面描写の先駆けとされる小説である。主人公は無名の作家志望の青年で、クリスチャニアの街を彷徨いながら極度の飢えと貧困に苛まれる。彼の意識は飢餓による幻覚や妄想に揺さぶられ、現実と幻想の境界は曖昧になる。物語は筋立てよりも心理の断片的描写を重視し、人間存在の不安と孤独を赤裸々に示す。ハムスンは近代人の主観的意識を徹底的に追い、後のモダニズム文学に大きな影響を与えた。『飢え』は文学が外的事件ではなく内面の体験を描くことに可能性を見いだした記念碑的作品である。
豆知識
- ハムスン自身の体験がもとになっている。アメリカ放浪の前後、クリスチャニア(現オスロ)で困窮していた時期を描いている。
- ハムスンは1920年にノーベル文学賞を受賞したが、第二次世界大戦中にナチス・ドイツを支持したため、戦後に裁判にかけられた。
- アイザック・バシェヴィス・シンガーは「20世紀の近代小説は、すべてハムスンから始まった」と評した。