不穏の書
フェルナンド・ペソア
ポルトガル · ポルトガル語
1928
あらすじ
フェルナンド・ペソアの『不穏の書』は、異名作家ベルナルド・ソアレスの名義で書かれた断章集である。日常の些細な観察から形而上学的思索に至るまで、断片的なテキストが積み重ねられている。語り手は倦怠と孤独、夢想と不安の中に生き、世界の不確かさを詩的に表現する。統一的な筋は存在せず、未完のまま膨大な断章が残されたが、その断片性自体が現代人の意識の迷宮を象徴する。ペソアは多重人格的な異名の技法を駆使し、自己と他者の境界を解体した。『不穏の書』は、近代文学における断片と不確実性の美学を極限まで推し進めた作品である。
豆知識
1.
未完の断章群からなる内省的テキストで、自己省察の極点とされる。
2.
異なる筆名を用いて書かれた断片が再編集されている。
3.
20世紀文学における存在論的日記の代表例と見なされる。