20世紀・ヨーロッパ
不穏の書
- 作者
- フェルナンド・ペソア
- 国・地域
- ポルトガル
- 言語
- ポルトガル語
- 成立
- 1928年
あらすじ
フェルナンド・ペソアの『不穏の書』は、異名作家ベルナルド・ソアレスの名義で書かれた断章集である。日常の些細な観察から形而上学的思索に至るまで、断片的なテキストが積み重ねられている。語り手は倦怠と孤独、夢想と不安の中に生き、世界の不確かさを詩的に表現する。統一的な筋は存在せず、未完のまま膨大な断章が残されたが、その断片性自体が現代人の意識の迷宮を象徴する。ペソアは多重人格的な異名の技法を駆使し、自己と他者の境界を解体した。『不穏の書』は、近代文学における断片と不確実性の美学を極限まで推し進めた作品である。
豆知識
- ペソアは70以上の「異名」(経歴や文体の異なる架空の作家)を使い分けた。この本は、帳簿係ベルナルド・ソアレスの手記という形をとる。
- 生前はほとんど無名で、死後に見つかったトランクの中には2万5000枚を超える原稿が残されていた。
- 初めてまとまった形で出版されたのは、ペソアの死から47年後の1982年だった。
日本語で読むなら
- 『不穏の書、断章』澤田直訳平凡社ライブラリー