世界傑作文学100選

20世紀・南北アメリカ

響きと怒り

作者
ウィリアム・フォークナー
国・地域
アメリカ合衆国
言語
英語
成立
1929年

あらすじ

ウィリアム・フォークナーの『響きと怒り』は、アメリカ南部のコンプソン家の没落を多声的に描いた実験的小説である。物語は知的障害を持つ末子ベンジーの混沌とした意識、兄クエンティンの絶望的内面、冷笑的な弟ジェイソンの語り、そして使用人ディルシーの視点から語られる。時間は錯綜し、過去と現在が交錯する構造によって、家族の崩壊と南部社会の衰退が浮かび上がる。フォークナーは意識の流れの技法を駆使し、読者に解釈を委ねる難解な語りを構築した。『響きと怒り』は、伝統的リアリズムを解体し、近代小説の形式革新を体現した作品である。

豆知識

  • 題名は『マクベス』の台詞「人生は白痴の語る物語、響きと怒りに満ちているが、何の意味もない」から取られている。
  • 第1章の語り手ベンジーは知的障害のある33歳の男性で、過去と現在の出来事が区別なく混ざり合う。
  • フォークナーは、時間の違いを色分けして印刷するよう出版社に提案したが、費用の問題で実現しなかった。

日本語で読むなら

  • 『響きと怒り』平石貴樹・新納卓也訳岩波文庫・全2冊

この作品が好きなら

  • アブサロム、アブサロム!(ウィリアム・フォークナー)

    同じフォークナーの代表作。登場人物の一部が重なる

  • ダロウェイ夫人(ヴァージニア・ウルフ)

    意識の流れの手法で内面を描く

  • ペドロ・パラモ(フアン・ルルフォ)

    時間が行き来する語り。ラテンアメリカ文学はフォークナーに強く影響された

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