19世紀・北欧・ロシア
人形の家
- 作者
- ヘンリック・イプセン
- 国・地域
- ノルウェー
- 言語
- ノルウェー語
- 成立
- 1879年
あらすじ
イプセンの代表作であり、近代演劇の転換点とされる戯曲である。主人公ノラは一見幸福な家庭の妻として描かれるが、実は夫トルヴァルドに隠れて借金をし、彼を支えていた。その秘密が暴かれると、彼女の犠牲や愛は軽んじられ、夫の保身が露わとなる。ノラは自らの生を「人形のように操られてきた」と悟り、子どもと家庭を捨てて独立を選ぶ。この衝撃的な結末は当時の観客に強烈な議論を巻き起こした。戯曲は家庭の倫理や性別役割を問い、近代的な自己意識の目覚めを描く。ノラの扉を閉じる音は、女性解放の象徴として文学史に刻まれ、今もなお現代の読者や観客に挑発的な問いを投げかける作品である。
豆知識
- ドイツでの初演では、主演女優が「自分なら子どもを置いて出ていかない」と演じることを拒んだ。イプセンは不本意ながら、ノラが家にとどまる別の結末を書いた。
- ノラにはモデルがいた。夫に内緒で借金をし、それが発覚して夫から離婚を迫られたラウラ・キーラーという女性である。
- 日本では1911年に松井須磨子がノラを演じ、「新しい女」をめぐる議論のきっかけになった。
日本語で読むなら
- 『人形の家』原千代海訳岩波文庫
- 『人形の家』矢崎源九郎訳新潮文庫