特性のない男

ムージル
オーストリア · ドイツ語
1930–1932

あらすじ

ローベルト・ムージルの『特性のない男』は、オーストリア=ハンガリー帝国末期の社会と人間を精緻に描いた未完の大作である。主人公ウルリヒは「特性のない男」として、才能や知識を持ちながらも決定的な自己を欠いている。物語は帝国崩壊前夜の「並行行動」と呼ばれる祝典準備を背景に、政治、文化、科学、性愛など多様な要素が交錯する。ムージルは細密な心理描写と哲学的考察を融合し、近代社会におけるアイデンティティの不安定さを浮き彫りにした。未完であるがゆえに、その断片性が近代の不確実性を象徴する。『特性のない男』は20世紀文学における知的実験であり、人間存在の流動性を問い続ける作品である。

豆知識

1.

未完の長編で、20世紀初頭のオーストリア社会を鋭く風刺。

2.

抽象的思考と物語が絡み合い、哲学的小説の典型とされる。

3.

近代人のアイデンティティの不確定性をテーマにしている。

作品を見る