20世紀・ヨーロッパ
灯台へ
- 作者
- ヴァージニア・ウルフ
- 国・地域
- イギリス
- 言語
- 英語
- 成立
- 1927年
あらすじ
ヴァージニア・ウルフの代表作であり、意識の流れを駆使したモダニズム文学の金字塔である。舞台はラムジー家とその友人たちが訪れるスコットランドの島であり、灯台への旅が象徴的に繰り返される。前半は母を中心とした家庭的な情景が描かれ、戦争と時間の流れを挟んで後半は母を失った後の空虚な世界が続く。ウルフは登場人物の内面を緻密に追い、言葉にならぬ感情や記憶を多声的に交錯させる。灯台は到達し得ぬ理想や時間の彼方を象徴し、物語全体が生と死、記憶と喪失をめぐる瞑想となる。従来の筋立てを拒み、内的世界の詩的な流れを重視したこの作品は、20世紀文学の革新を告げるものである。
豆知識
- 舞台はスコットランドのスカイ島だが、下敷きになっているのは、ウルフが子どもの頃に毎夏を過ごしたコーンウォールのセント・アイヴスと、そこから見えるゴドレヴィ灯台である。
- ラムジー夫妻のモデルはウルフ自身の両親で、母はウルフが13歳のときに亡くなった。
- 中間の短い章「時はゆく」では10年が過ぎ去り、主要人物の死がかっこ書きの一文だけで告げられる。
日本語で読むなら
- 『灯台へ』御輿哲也訳岩波文庫