近世・ヨーロッパ
トリストラム・シャンディ
- 作者
- ロレンス・スターン
- 国・地域
- アイルランド
- 言語
- 英語
- 成立
- 1759–1767年
あらすじ
ロレンス・スターンの『トリストラム・シャンディ』は、18世紀小説の形式を根底から覆す実験的作品である。主人公トリストラムの生涯を語るはずが、物語は脱線と digression に満ち、誕生の場面にさえなかなか辿り着かない。語り手はしばしば読者に語りかけ、ページには白紙や黒塗り、奇妙な図形まで挿入される。スターンは形式と内容を戯画化しながら、人間の思考や言語の逸脱性を軽妙に描き出した。物語の不連続性は近代小説の先駆を示し、セルフリフレクティブな構造は後世の実験文学に大きな影響を与えた。『トリストラム・シャンディ』は、笑いと混乱の中に人間存在の真実を映す奇書である。
豆知識
- 語り手は自分の誕生から語り始めるが、実際に生まれるのは第3巻になってからである。
- 登場人物が亡くなると、ページ全体が真っ黒に塗りつぶされた「黒いページ」が現れる。
- 夏目漱石は1897年、この作品を日本に初めて紹介する評論を書いた。
日本語で読むなら
- 『トリストラム・シャンディ』朱牟田夏雄訳岩波文庫・全3冊